大富豪であったメイスン・ヴァージャーはその傲慢さから、ハンニバル・レクターに対してもすべて自分が状況をコントロールできると思っていたようである。
しかし他人には推し量れない理由で行動するハンニバル・レクターは「コントロール」される事などあり得ない事であった。
メイスンがハンニバルをオウイングス・ミルズのアパートに呼び寄せ、何らかのトラブルに巻き込まれるように仕組んだときもそうであった。
怪物の本性を見破られなかった男
メイスンはオウイングス・ミルズのアパートで、特別な快感を得られる自慰行為のための道具を見せたときのハンニバルの反応から「こっちのペースに乗ってきたぞ!」と思ったらしいが、ハンニバルは持ち込んだ強烈な麻薬をメイスンに与え、自身で顔の肉をそぎ落とし飼い犬に食べさせるように仕向けてしまった。
最後にハンニバルはメイスンの首の骨を折っている。
この結果、メイスンはなんとか一命はとりとめたものの鼻、唇、片目と顔の大部分の筋肉を失い、半身不随になった。
メイスンが死ななかったのは奇跡に近いというよりも、最初から殺す必要を感じていなかったようである。
なぜハンニバルがこのようなことをしたのかははっきりしていないが、メイスンの行動の中に自分と同じ何かを見いだしたからであろうか?
ハンニバル・レクターの手にかけられ命をとりとめたのはメイスン・ヴァージャーただ一人であり、そのためあえて関係者とした。
なんと、メイスンは実の妹のマーゴによって殺害されたのである。