この事件の衝撃的なところはハンニバル・レクターがまだ13歳であり、しかも衝動に駆られた行動ではなかった事であったことであろう。
ハンニバルは殺人の直前までマモンの殺害後の処置について冷静にスケッチブックに書いており、殺害直前のモマンに見せている。その状態とは首を切断し、皿の上にさらすというものであった。
この瞬間こそ「怪物ハンニバル・レクター」の誕生した時ではないだろうか。
嘘発見機も見抜けないハンニバルの内面
この事件の捜査で、市での騒動で警察の注目を集めていたハンニバルは容疑者として扱われたが、被害者のポール・モマンが第二次世界大戦中のフランス政府、ヴィシー政権の支持者であり、ナチスの残虐行為に加担した人物であった事から意外な展開となる。
地元警察の範囲を超え、戦犯を追及するパリ警視庁のパスカル・ポピール警視の注目する事になるのである。
事件の異常さからポピール警視は13歳のハンニバルを嘘発見機にかけているが、その反応は驚くべきものであった。全く反応しなかったのである。
さらにその後の会話の中から、数々の戦犯を追及してきたポピール警視の直感が、13歳のハンニバルの中に戦犯たちと同類の「異能の頭脳」を感じ取ったのである。
嘘発見機の結果と異能の頭脳の気配を感じ取ったポピール警視はそこに「怪物」を見出したのではないだろうか。
この事がきっかけとなり、フランス時代のハンニバル・レクターとポピール警視の関係は抜き差しならないものとなるのである。

