一言でいえばバーニーという人物は職務に関し誠実であった。
自身の立場をわきまえており、精神異常者(ハンニバルには当てはまらないが)に対しても誠実に接していた。この誠実さこそがほとんどの人間がハンニバルと接する時には持ち合わせていないものである。
ハンニバルと接する際に必要な態度
ハンニバルは心の内側を隠し、本音で語り合えない人物に対しては相手にしなかった。
さらに、その人物が万一不愉快な思いをハンニバルに与えてしまうと、その相手には未来が無くなるのである。
この点、バーニーの誠実さはハンニバルにとって大変好ましいようで、バッファロウ・ビル事件に関連してボルティモアからメンフィスへ移送される際の別れ際には長年の労をねぎらうほどであった。
また、バーニーは仕事に関しては完璧主義者であった。
長年ハンニバルと接する間にミスは一度も犯さなかった。のこため、ハンニバルは脱獄の準備として手錠の合鍵を作っていたが、バーニーがいる間はそれを使うことができなかった。
しかし、メンフィスに移送された後、バーニーの忠告を無視したチルトンにより、ハンニバルの扱いについて十分な情報を得ていなかった監視人の隙をついてその日の夜のうちに脱走してしまったのである。