ツィグマス・ミルコはハンニバル・レクターを始末するために医学校の解剖実習室にもぐりこむことができたが、研ぎ澄まされた感覚で翌日の解剖実習のための準備をしていたハンニバルは、ミルコが窓を開けたことで起きた一瞬の空気の流れを敏感に感じ取り、何者かが深夜の解剖実習室に侵入したのを察知したのである。なんといってもハンニバルにとっては勝手知ったる解剖室なのである。
ホルマリン槽の中で溺死
何者かの進入の気配を感じとったハンニバルは、侵入者を欺くため解剖中の献体の腕を切断し、スケッチをしていた製図台の上に置き、アルコールを充填した注射器を構えて待ち構えていた。
ミルコにとってハンニバルはなんと言ってもまだ子供であった。自分の侵入がすでに相手に知られているなどとは露も思わず、ハンニバルの偽装工作に気がついたときはすでに遅く、アルコールを注入されあっけなく崩れ落ちてしまった。
ハンニバルは持ち物から侵入者が妹ミーシャを殺害した一味のツィグマス・ミルコである事を知ると、早速処刑の準備を始めた。ミルコが気がついたときには、体には死体固定用の鎖が巻かれており、なんとし死体保管用のホルマリン槽の中に捕らえられていたのである。
ハンニバルはミルコからグルータスの居所を聞き出すと、そのままホルマリン槽の蓋を閉じ、死者と共にミルコを溺死させたのである。
ツィグマス・ミルコの最後の言葉は12歳のとき実家の農家を飛び出した時に唱えた「畑なんぞ、くそくらえ」だった。
ミルコの遺体は首を切断され、所持品と一緒に解剖実習室の焼却炉で他の献体と一緒に焼却された。

