クラリス・スターリングはハンニバルとの最後の面会でバッファロウ・ビル事件の捜査資料を返されたが、その中に事件解決のヒントになる重要なメモが書かれていた。
それは犠牲者の発見現場が意図的に散らしてあるということであった。
最初の犠牲者が鍵となる
クラリスはハンニバルとの最後の面会で他にも重要なヒントを与えられていた。
それはバッファロウ・ビルは願望の対象をどのようにして見つけるかということであった。
ハンニバルによるとそれは、毎日見ているものに対して願望をもつという。
性転換願望のある犯人が毎日見ていたもの、願望をいだくほど一番長く見ていたもの、それは一番最初の犠牲者ではないのか?
そのことと、意図的に犠牲者の発見場所を散らしているという指摘から、クラリスはそれまで誰も気にかけていなかった最初の犠牲者(錘をつけられ沈められていたため、発見が2番目となっていた)の近辺に犯人に繋がる情報があるのではないかと確信を得たのである。
しかし、あと4週間で訓練生を卒業しなければならないクラリスには時間が足りなかった。これ以上訓練学校以外に時間を盗られると留年扱いとなってしまうのである。
そのため、誘拐された上院議員の娘キャザリン・マーティンの捜査方法に関して、司法省のクレンドラーから職務遂行能力審査会にだされた苦情に抗議し、審査会を開くこともできなかった。訓練校を卒業し、正式なFBI捜査官になるためには捜査を止め、苦情を甘んじて受け入れるしかなかったのである。