グルータスは対ドイツ協力者の首領だった
ヴラディス・グルータスはドイツ軍がバルバロッサ電撃作戦でリトアニアに侵攻してきた際、千載一遇とばかり己の身の保身のために同郷人を裏切り、対ドイツ軍協力者になっていた一味の首領格であった。
しかしそれは勢いに乗っているドイツ軍に同調するためであって、大義名分などなく所詮戦争を切り抜けるための方便であった。
怪物と呼ばれた医学博士ハンニバル・レクターについて、生い立ち、嗜好、関係者などをトマス・ハリスの原作小説を基にまとめた資料室です
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ヴラディス・グルータスはドイツ軍がバルバロッサ電撃作戦でリトアニアに侵攻してきた際、千載一遇とばかり己の身の保身のために同郷人を裏切り、対ドイツ軍協力者になっていた一味の首領格であった。
しかしそれは勢いに乗っているドイツ軍に同調するためであって、大義名分などなく所詮戦争を切り抜けるための方便であった。
グルータスはバルバロッサ作戦開始直後の1941年6月23日に早くもレクター城でレクター家の使用人を殺害している。
このとき、城主であるレクター伯と一家は使用人たちをともない、狩猟ロッジに非難していたが、コックと庭師のエルンストは厨房の備品の梱包のためにレクター城に残っていた。
グルータスはドイツ軍の信頼を得るために、この二人を殺害したのである。
グラディス・グルータスとその一味は戦争中一度も正規の軍隊に所属していなかった。
戦中行った事は略奪、虐殺などであり祖国を守るなどという事は彼らの頭の中にはなかった。
グルータス一味は自分たちの都合の良いように取り付く側をドイツ軍、ソ連軍などに替えていた。ある時は国際赤十字を装っていた事もある。
グルータス一味は何とか狩猟ロッジに隠れ潜むことは出来たが、食料が不足していた。
何度か森に猟に出て行くが、冬の季節でそう簡単に食料を確保できるわけはなかった。
飢えとインフルエンザにより如何ともしがたくなったとき、ついにグルータスは、それまで衛生兵として偽装するために一緒に連れてきた少年を食料にしてしまった。
しかし、食糧不足はその後も続き、ついにグルータスはハンニバルの妹ミーシャを手にかけてしまう。
妹ミーシャを選んだのは、単にハンニバルのほうが体力がまだあり、もうしばらく生かせることが出来そうだったからに他ならない。
ハンニバルにとってヴラディス・グルータスだけは絶対に逃がすことのできない男であった。
リトアニアのレクター城から始まった数々の殺人、略奪はハンニバルから愛すべきすべてのものを奪い取ってしまったからである。
しかし、一味のリーダーだけありそう簡単に事は運ばなかった。
ハンニバルについにグルータスを処刑する時が来た。
ハンニバルの身を案じた紫夫人は、必死にグルータスをポピール警視に引き渡すよう説得するが、ハンニバルにはそんな事を露ほども考えてもいなかった。
しかし、運の尽きたグルータスは意外な事実をハンニバルに告げることになる。
なんと狩猟ロッジで妹ミーシャを殺害し、食料にした際、一味の鍋男ことカツィス・ポーヴィックがハンニバルにもミーシャの肉を分け与えたと言うのだ。
グルータスは最後の言葉で、ハンニバル自身が決して認めない記憶を、紫夫人にも知らしめてしまったのだ。
到底受け入れることの出来ない事実に、ハンニバルは自制心を失い、グルータスの顔に正宗でミーシャの「M」を刻みつけ、最大の復讐相手を処刑したのだった。