妹ミーシャ殺害の最後の生き残り
ヴラディス・グルータス一味のブロニス・グレンツは戦後まもなく難民船でカナダへ逃れているが、それは難民というよりナチス協力者としての追求を逃れ、海外に逃走した他のナチス協力者との連絡係となるのが目的であったようである。グレンツのアドレスブックには、戦後イギリス政府が配布したナチス戦犯のリストに載っている関係者が多数記載されていたからである。
しかし、ハンニバルにとってグルータス一味の最後の一人ブロニス・グレンツを殺害し、妹ミーシャの復讐を完結させることはどのような意味があったのであろうか?新天地に移ってからもあえて危険を冒したのは何故なのか?
すでにグルータスとその一味のほとんどを殺害し、フランスから半ば追放された形で新天地アメリカに移ってきたハンニバルにとって、一味の最後の生き残りのブロニス・グレンツははっきり言ってもうどうでもよい存在であったはずである。